束の間だけど何もやることのない夏休み
まさか教員をやっていてこんなに何もやることのない夏休みを過ごすことができるとは思わなかった。
コロナコロナと世間で騒がれ出してから半年以上が経つ。依然としてそれは猛威を振るい続け、おさまる様子は微塵も見えない。
それが教育現場に何の影響も与えないはずがなく、しっかりと「夏季休暇半減」という多大なる痕跡を残していった。生徒はともかくとして、教員は休校期間中も休みなく働かせられたのだから本音を言うと勘弁してほしいのだが、授業時数を引き合いに出されると途端に弱くなってしまうのも教員の性である。そうなれば夏季休暇半減を受け入れざるを得ない。
さて、夏季休暇が減ってしまったことにより、大きく落胆したかと思えば、事実は少し異なる。まさかのコロナの影響によってしっかりとした休暇が取れたのである。
部活動の中止がその大きな原因である。今まで教員をしていて、夏季休暇に部活動を一切実施しない年など皆無であった。それがこの夏は様子が異なり、ただでさえ通常の部活動ができていない中で夏季休暇から活動を再開させるわけにもいかず、夏季休暇中一切の部活動が禁止されたのである。まさか教員生活を送っていて部活動を一切しない夏季休暇を迎えることができるとは思ってもみなかった。
さて、それによって私は一週間ほど夏季休暇をとることができたのだが、コロナ下で一週間を過ごすという地獄はそれはもう耐えがたいものであった。外出は美術館に行った一回と日用品の買い出しのみ。せっかくのGo Toキャンペーンを遣って旅行に行くこともできず、家で地獄のような一週間を過ごすハメになった。
おかげで家では自堕落な生活を送り、体重も思うように減少せず、果たしてこの一週間の夏季休暇は必要あったのかと思う始末。これを書いている今も溜息が止まらない。
この夏季休暇によって私は家でゆっくり過ごすということが致命的に向いていないらしいということに気付かされた。普段はあれだけ休みが欲しいと嘆いているのにも関わらず、実際に休みが与えられるとどう過ごしていいのか分からないのである。
本当に、自分がつくづく仕事人間なのだと気付かされる夏季休暇であった。