趣味のみぞ語るセカイ

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元高校教員が教える読書感想文の書き方(学校の宿題編)

 タイトルを見ると堅苦しそうな文章が並ぶと思われる方もいるかもしれないが、それほど気負わないで気軽に読んでほしい。今回はこれまでの記事と違って視覚的に書こうと心がけて書こう。

 

 

 はじめに

 夏休みも終わりに差し掛かってくると、学生はようやく宿題を終わらせることに躍起になり始める。するとそこに立ちはだかる大きな壁となるのが「読書感想文」である。読書感想文とは読んで字のごとく読書をしたうえでその感想を書くのだが、ほとんどの人が「書き方が分からない」と嘆き、大体の人が読書感想文ではないものを書き上げて提出することになる。では、どのように書けばしっかりとした読書感想文になるのか。

 

まずは本を読もう

本の選び方

 読書感想文を書く以上、まずは読む本を決めなければならない。課題図書が決まっていればそれを読めばよいだけだが、学校の宿題では課題図書が与えられないこともままある。読書感想文につまずく人は、その大半がそもそも読書に慣れていない人である。そのため、ここでは本の選び方から教えよう。

 

  • おススメは新書

 いわゆる「説明的・論説的文章」に当てはまる文章である。「新書」というと読書に慣れていない人にはハードルの高い本に思われがちだが、読書感想文を書くのにこれほどうってつけの本はない。筆者の主張が明確であり(分かりやすい)、ページ数も小説に比べて少ない。内容が平易なものも多いので読書に苦手意識を持っている人ほど手に取ってみてはいかがだろうか。

 

  • 小説ならば短編を

 読書感想文だからと気合を入れて長編小説を読む必要はまるでない。おそらく手に取ったところで読み終わらないのがオチである。ならば短編小説を読んだ方が、話も短い分内容もまとめやすいだろう。ただし小説が短すぎると内容も少ない分、感想文に書くことも少なくなるのでかなりの作文力が必要になるので注意を。

 

  • 映像化されている作品の原作を読むのも手

 本当に読書が苦手ならば映像化されている作品の原作を読むと良い。さらに、映像化作品を先に見てから追いかけると良い。事前に見たビジュアルイメージによって描写されている情景が読み取りやすく、読解力を上げてくれるはずである。

 ただし、注意点が1つ。絶対に映像化された作品だけを見て感想文を書かないこと。いうまでもないが映像作品と原作では内容に違いが出てくる。加えて映像化されているということはその原作と映像化作品双方を教員が目にしている可能性も大いにありうる(私も往々にしてそうだ)。映像化作品しか見ていないことがバレる可能性がある以上、避けておいた方がよいだろう。また、映像化作品と原作両方読む時はその違いを書くと良い。教員はそのような比較を高く評価する傾向にあるからだ(厳密にいえば「読書感想文」ではないのだけれども、それは不問にされることが多い)。

 

本を読む時の注意点

 読書に慣れない人が本を読む時についついやってしまうことが「なんとなく本を読む」ことである。もちろん読書に慣れていればそれでも構わない。読解力が身についている人は自然とその作品の要点を捉え、その作品に対する感想を簡単に書けるからである。

 読書に慣れない人は「大きめの付箋」を用意して読書しよう。できれば一色ではなく、二三色用意してそれぞれ「感動したところ」「疑問に思ったところ」などを色分けして分かるようにしておくと良い。そして何か気になったところがあるたびに付箋に何を思ったのかを書き込みし、該当箇所に貼っておけばよいのだ。付箋の数は多い方が良い。数が少ないといざ読書感想文を書いた時にトピックが足りず、また一から読書をしなければならないからである。付箋の数が多い分には読書感想文を書く時に付箋を選べば良い。

 

 さあ、書いてみよう

 読み終わったらメモした付箋をもとに読書感想文を書こう。読書感想文を書く時の流れは次の通り。

読書感想文のポイント
  1. その本を読んだきっかけ
  2. 簡単なあらすじ
  3. その本を読んで印象に残った部分
  4. 本を読んで得たもの

 1のきっかけについては課題図書を与えられている場合は不要になる。その代わりに、「タイトルを見て事前に内容を予想したこと」などを書けばよい(もちろん自分で選択した図書でも内容事前予想を書いても構わない)。

 2のあらすじについては、次のNGにも書くが、長く書かないこと。

 3の印象に残った部分については、付箋を有効利用しよう。ただ、印象に残った部分をあまり多く挙げすぎると読書感想文がとっ散らかってしまうため、トピックを絞って書くこと。

 4の本を読んで得たものについては、その本を読んで考えに変化があったことなどを書けばよい。また、1で内容事前予想を書いた場合には予想と実際に読んでみて違ったことなどを書いて締めるのもありだろう。

 

 続いて、読書感想文にてやってはいけないことが次の通り。

読書感想文のNG
  1. やたら長いあらすじ
  2. やたら長い引用
  3. ただ内容をまとめただけ
  4. インターネットの感想文をコピペ

 1~3に共通していえるのは、「それは読書感想文ではないだろう」ということ。後で書くが、教員は読書感想文を書かせる以上それに対して評価をする。1~3は読書感想文において評価ポイントにはなく、いくらそれで長い文章を書いたとしても「頑張ったね」で終わってしまうのだ。

 で、一番ひどいのが4である。これは十中八九バレる。私も実際に読書感想文の課題を出してコピペをされたことが幾度となくあるのだが、教員の視点から見るとコピペはすぐに分かるのだ。

 人である以上、文章のクセというのは必ず存在する。そのクセは拭うことができないものであり、読書感想文においてもそのクセを一番にみる。そしてコピペかどうかを判断するのが大体である。加えて、文章を書くのが苦手な人に限ってコピペを選択するものであり、そうするとありえもしない高難度の文章をそのまま書いてくるので即バレである。

 では一部分だけ参考にするのはどうか。それも勧められない。大体の人が参考にするのがその読書感想文における「キラーワード」であり、やはりそれだけでも文章のクセからくる違和感につながる。分かりやすく言えば、「こいつがこんな表現をする/知っているわけがない」と感じるのである。ちなみに私が教員の頃はそのような違和感を覚えた途端にネット検索で表現をいくつか変えて調べてみることにしていた。すると大体がコピペであると判明することになったのだから、やはりよしておいた方が良いだろう。

 そして最も説得力のあることを言うならば、コピペがバレる一番の原因が「他の生徒も同じ文章を書いてきた」というものである。ようは結構な人がコピペをしているのであり、そしてそういう人は往々にしてネット検索の上位の文をそのままコピペしてくるのである。同じようなことを考える人はザラにいるのである。

 もちろんコピペがバレてお咎めなしということはありえないだろう。ただ読書感想文を書き直せというのならばまだ良いが、最悪謹慎処分推薦候補から取り消されたという事例も勤めていた学校であった。たかだか読書感想文の為に、自分の人生を棒に振るなどという愚かなことは絶対にしてはならない。

 

 以上のことに気を付けて、読書感想文を書いていこう。

 

教員は何を見ているのか

  教員は当然ながら目的があって読書感想文を書かせている。では、教員は何を読書感想文の評価のポイントとしているのであろうか。

 当時のではあるが、教員として私が評価のポイントにしていたのは大まかに次の通り。

  1. 本の内容において要旨(重要なこと)を汲み取れているか
  2. 要約(要旨をまとめること)ができるか
  3. 本の全体、あるいは一部から何かを感じ取ることができ、それを自分に生かすことができるか

 

 1が読書感想文の肝である。だから教員もそこに関して重点的に読む。特に課題図書の場合はそれが明確に汲み取れていないと評価に直結してしまうので注意が必要(ちなみに課題図書がない場合、教員は生徒が読んだ各作品の要旨を把握するためにネットであらすじなどを調べる場合がある。だからコピペも往々にしてそこでバレる)。

 2は技術として評価される。これが上でやたら長いあらすじや引用だらけをNGとした理由である。長い本の内容をあらすじとしてまとめることができるか。これができていないと下手したら1の要旨が汲み取れていないということにもつながりかねないので気を付けて書かなければならない。長くても全体の2割以下に収めること。

 3は評価というよりも、倫理的・道徳的側面での観点である。これは単純に作品の感想でも良いし、作品を読んだうえで新たに生じた疑問でも良い。要は本を読んで変化が生じたことを書けばよいのである。だったら書かなくても良いと思う人もいるかもしれないが、これは書いておいた方が良い。なぜなら読書感想文で書かなくても、そのうち大学入試(推薦入試やAO入試など)だったり大学のレポートだったりでおいおい似たようなことをさせられるからである。それならば今のうちから慣れておいた方が良いだろう。

 

 以上の観点に気を付けて読書感想文を書くと、評価の高い読書感想文になるだろう。加えて、教員の評価を落とさないためには、必ず書いた読書感想文を読み直す(できれば音読する)こと。それによって字の間違いや文章の変なところに気付くことができる。

 

おわりに

 以上が簡単に書いた読書感想文を書くコツである。だが、これはあくまで「宿題で出された読書感想文のコツ」であり、入試などで出てくる読書感想文課題などはまた異なるアプローチをしなければならない。それはまた書く気が起きた機会に書こうと思う。

 何かわからないことがあれば、気軽にコメントまで。