趣味のみぞ語るセカイ

趣味であるお酒や読書、アニメ等に関して思ったことを綴っていくブログです。

【レビュー】君と僕のアシアト(よしづきくみち)

 現実的な「タイムトラベル」のカタチ。

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 よしづき先生は「魔法遣いに大切なこと」で出会い、とても丁寧で綺麗な絵を描く人だというイメージだった。彼の書くキャラクター(特に女性キャラ)は本当に表情豊かで魅力的だと思う。繊細な絵のタッチに惹きつけられ、今回も手に取った次第である。

 

 内容を端的にいうと「タイムトラベル」ものである。ただ、他のタイムトラベル作品と大きく異なるのはこの作品が「インブレインタイムトラベル」――すなわち、実際にタイムトラベルするのではなく、脳内でのタイムトラベルであることである。このシステムであれば、実際にタイムトラベルしているわけではないのだから、SF作品にて幾度となく取り上げられている「タイムパラドクス」は発生しない。実現可能性の高いシステムである(原作と全く同じようなシステムにすることは大分難しいが)。

 過去にさまざまな問題を抱えた依頼人が戻りたい時間を設定し、そこで別行動を起こしていればどうなったかというシミュレーションができ、それに応じて現在の行動新たな行動を起こしたり、過去のトラウマを振り切ったりする。その中でもやはり死別した人に関するエピソードはなかなか心をえぐるものがある。全体にわたってわりとスピーディーに話が進んでいくため、もう少しこの世界に浸っていたかった感はあるのだが、それは最近の漫画が間延びする傾向に感化されているせいなのだろう。冷静に考えてみると6巻という巻数はこの作品においてちょうど良いバランスであろう。

 もしこのようなタイムトラベルシステムが発明されたら、私もぜひ利用してみたいと思う。戻りたいと思う過去は、あまりないのだが・・・