趣味のみぞ語るセカイ

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【レビュー】ジェームズ・ボンドは来ない(松岡圭祐)

 007シリーズに興味がなくても楽しく読める。

 

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 今回取り上げるのは松岡圭祐氏の『ジェームズ・ボンドは来ない』である。「007」シリーズの映画のロケ地誘致活動をした直島を描いた作品であり、「この物語は実話である」という前書きから始まるように、事実をもとにして描かれた作品である。

 

 タイトルからも分かるように、直島のロケ地誘致活動は失敗に終わるのだが(というより、元から成功する目はかなり薄かったのだが)、それでも島はロケ地誘致活動に執心し、それに多くの「007」ファンが共感して熱を上げていたのは確かである。何より松岡氏の取材力と描写力によりすらすらと読み進められるし、作中には当時の新聞記事や写真などの資料が豊富に掲載されているため、当時の熱量を直に感じることができる。やはり史実や事実に基づいた作品を書かせたら松岡氏の右に出る者はいないだろう。

 

 「007」シリーズを全く知らなくても前述した資料がたくさんあり、小説も読みやすいので、ぜひ本作を読んで「007」シリーズや直島に関心を持ってくれれば幸いである。