【レビュー】ココロ・ファインダ(相沢沙呼)
写真部員の周りで起こった、小さなミステリ。
今回取り上げるのは相沢沙呼氏の『ココロ・ファインダ』。
写真部を舞台に、そこに所属する写真部員の周りに起こるミステリを描いた作品である。
面白いのは、この作品がれっきとしたミステリ作品なのにも関わらず、それほどミステリ部分に重点が置かれていないということである。この作品で中心的に書かれているのは写真部に所属している女子生徒の心の機微である。
他作品でも思うが、相沢沙呼氏は本当に男性なのかと疑ってしまうくらい女性の心理描写が上手い。そのような技術があるからこそ、相沢氏はこの作品を単なるミステリ短編集に終始してしまうのではなく、女子生徒の関係変化や心理描写を中心に扱った作品にできたのだろう。彼の繊細な描写には本当に驚かされるばかりである。
そんな女子生徒の心理描写とミステリの割合が絶妙な『ココロ・ファインダ』。是非一度ご覧あれ。
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