【レビュー】幽落町おばけ駄菓子屋 夏の夜空の夢花火(蒼月海里)
ホラー文庫なのにほろりとくる。それがウリの作品。
今回取り上げるのは蒼月海里氏の『幽落町おばけ駄菓子屋』シリーズの第3弾である。
今シリーズの特徴として、ホラー文庫なのにもかかわらず「ホロリ」とくるストーリーが挙げられる。それどころか、作品にホラー成分はまるでなく、舞台がこの世ではなく、登場人物も人外であるということがこの作品に残された数少ないホラー要素である。
今巻は3話で構成されており、注目すべきはその3話目である。主要人物である猫目ジローの過去が少し明かされる話になっているのだが、この話の最後が実によかった。それまでは少し憎ったらし気な印象しか与えない猫目が、この話をきっかけとして愛らしさ溢れる憎めないキャラになってくる。
このシリーズの特徴は愛すべきキャラクターとほろりとくるストーリーである。ページ数も少なく基本的に一話完結なので、今巻に限らず好きなところから手に取ってほしい。一度手に取ったらきっと幽落町に足を運びたくなってくることだろう。
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