趣味のみぞ語るセカイ

趣味であるお酒や読書、アニメ等に関して思ったことを綴っていくブログです。

【レビュー】ランウェイで笑って(猪ノ谷言葉)

 たまには連載中の作品も取り上げてみようかな。

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 コミックス派の私が唯一と言っていいほど毎回次巻を待ち望んでいる作品。

『ランウェイで笑って』との出会いは衝撃的なものだった。週刊誌を買う習慣はまるでない私が週刊誌と触れ合うほぼ唯一の機会が床屋である。そこで待ち時間にたまたま手にしたマガジンに第1話が掲載されていたのである。正直なところ、ファッションには全く興味がなかったのだが、少年漫画にファッションという組み合わせが想像つかなくてつい惹かれてとりあえずといった感じで読んだことを今でも覚えている。

 

 これほど惹き込まれる第1話は他に記憶にない。それくらいインパクトがあり、面白かった。話がスムーズに進み、パリコレを目指す背の低い高校生モデルとファッションデザイナーに憧れを抱く男子高校生がそれぞれの壁に立ち向かう様をうまく描いている。そして何より、見せ場の作り方、セリフのチョイスがものすごく上手い。これが初めての連載作品だとは思えないくらいの画力とセンスである。

 

 肝心の内容もとてつもなくスピーディーで面白い。「ランウェイ」という言葉がタイトルに入っていることからやはり見せ場はファッションショーである。とりわけ2巻の11着目は『ランウェイで笑って』のタイトル回収にもなっており、展開はアッパレというほかない。他にも7巻から9巻にかけての「芸華祭ファッションショー」も見ものである。

 

 9巻以降の「アプロ編」は正直言うと少し失速したかなという思いがあったが、それも杞憂に終わりそうな予感がする。巻を追うごとに徐々に面白さを取り返してきているのである。

 

 なかには「トントン拍子で進みすぎている」という風に批判している人もいる。だが、現実がトントン拍子で進まずストレスを感じている中、その鬱憤晴らしとしてトントン拍子で進む漫画があってもいいのではないかと思う。少なくとも、私はそういう作品が大好きである。

 

「少年漫画なのにファッション?」

 

「ファッションなのに少年漫画?」

 

 と言って避けることなかれ。まずは1話を読んでほしい。それで分かる。この作品の面白さ、そして読者を惹きつける魅力が。