【レビュー】漢字と日本人(高島俊男)
漢字が日本語との相性が悪いというのはよく分かる。
今回取り上げるのは高島俊男氏の新書「漢字と日本人」である。本書では、漢字が日本に入ってきてから現在に至るまでの日本における漢字の取り扱いについて述べたものである。
個人的には、明治期における外来語を翻訳して多くの言葉が誕生したがゆえにそこから「同音異義語」が爆発的に増加したという話が非常に興味深いものであった。そもそもが、日本人の口が不器用であることから中国では本来は異なる発音であった言葉が日本語では同音異義語となるということが日本で同音異義語が多い理由ではあるのだが、それに拍車をかけたのが明治期の文明開化であったという。西洋語をことごとく漢字に変換したが故に同音異義語が乱立したことで、日本における漢字がより複雑化されたのだそうだ。
もう一点、やはり国語科として放っておけないのは度々起こる漢字改革論であろう。個人的には漢字に魅せられた漢字シンパなので、漢字改革によって漢字の形状が変わることは許せることではない。それによって漢字の本義が分からなくなる形状変更は絶対にダメである。
最後に、本書を著した高島氏はどちらかというと漢字にそれほど肯定的な感情を抱いているわけではなく、ここまで日本に浸透してしまった漢字を廃止してしまうと日本語が死んでしまうため、やむを得ず使うしかないという立場だというのが何より面白いものである。
みなさんも、ぜひ漢字と日本人の切っても切れない関係性について学んでみてはいかがだろうか。
【ライブ・イベント】今年のライブ・イベントを振り返る(2020年)
今年はまさかのライブ大不況。
とにかく今年はライブ・イベントというものが全くといっていいほどできなかった一年だった。そのためにシリーズとして行いたかった今年のイベント振り返りも、一回で完結してしまうという悲しい展開である。
とりあえず、今年参加したライブ・イベントは以下の通り。
【1月】
・東山奈央 にじかいっ!! vol. 2(11日 昼・夜)
【2月】
・リスアニ!LIVE 2020 SUNDAY STAGE(9日)
・Sphere 10th anniversary Live 2020 “スフィアだよ! 全曲集合! ! "(15日 16日)
【12月】
・東山奈央 10th アニバーサリーライブ Special Thanks! フェスティバル(5日 6日)
今年参加したライブ・イベントは以上の7本である(一応オンラインで「ランウェイで笑って」のイベントと早見沙織の「STREAMING LIVE "glimmer of hope"」にも参加したがオンラインイベントなので割愛する。
さて、それでは今年のライブ・イベントをひとつずつ振り返っていこう。
・東山奈央 にじかいっ!! vol. 2(1月11日 昼・夜)
年度当初から熱いオフィシャルクラブイベントである「にじかいっ!!」の2回目に参戦した。「にじかい」というように、昨年の神ツアー“LIVE Infinity”の後夜祭の立ち位置であるため、このイベントも「群青インフィニティ」からスタート。昼の部では最初のMCでドラマーのまっしょいさんの件にも触れて思わず涙。やっぱりあれだけの名ドラマーを亡くしてしまうのは本当に惜しい。改めてご冥福を祈るばかりである。
本題に戻って昼の部では「ガラクタフルワールド」が一番の盛り上がりどころであった。会場の盛り上がりもその時にひときわ大きくなり、この曲の人気の高さをうかがわせる。名曲だもの歌わなければ。それともうひとつは三味線奏者の浅野さんが登場し、三味線アレンジで曲を披露してくれたこと。東山楽曲は本当に三味線がよく合う。そんなこんなで、満足のいくイベント初めであった。
・リスアニ!LIVE 2020 SUNDAY STAGE(2月9日)
続いて参戦したのは「リスアニ!LIVE 2020 SUNDAY STAGE」。スフィア、諸星すみれ、ClariS、LiSAと、推しの勢揃いしたライブなだけに参戦しないわけにもいかず、喜び勇んで馳せ参ずる次第。スフィアに関してはこの次の「全曲集合」で語るので省略。「GENESIS ARIA」から「MOON SIGNAL」への激熱の流れと曲数少ないというところが特筆すべきところであった。
続いて語るはhalcaか。連番者がhalca激推しなのでさらに神ライブと化していたであろう。個人的には「放課後のリバティ」がよかった。
諸星すみれに関してはミニアルバム中の曲「初めての主役」が好みでそれを聞けたのが本当によかった。それに加えて新曲の「つむじかぜ」途中で「間違えちゃった」と思わず呟く可愛らしさ。本当に初々しいものである。
それからのClariSも良く、とりわけ「CLICK」の「きっと」の念願のコールができたのが本当に最高であった。
そしてトリのLiSA。何だかんだ毎年一回は参戦していた彼女のライブであるが、今年はついに彼女のツアーが全て中止になってしまい、参戦できずじまいであった。そんな彼女と唯一接する機会がこのリスアニライブであった。セトリに関しては文句のつけようもない。「CROW SONG」から「一番の宝物」へのABメドレーや「ADMAS」から「紅蓮華」の追い込みなど、本当に最高の時間だった。今年参戦したライブの中では一番良かったライブであることは疑いない。
・Sphere 10th anniversary Live 2020 “スフィアだよ! 全曲集合! ! "(2月15日 16日)
これまでスフィアを追っかけていてよかったと思える、現時点での集大成のライブが今回の全曲ライブ。全84曲を2日間でやりきるというコンセプトのもと開催されたライブである。できれば全曲フルコーラスでやってほしかったものだが、一部ショートであったのが本当に惜しい。全ての曲がその日限りという気持ちをかみしめて一曲一曲を大切に聞いたライブであった。
ハイライトとしては「Future Stream」での始まりやライブ初公開となった「虹を駆ける旋律」、一日目の最後、「NEVER ENDING PARTY!!!!」2日目ラスト前の「サヨナラSEE YOU」から「LET・ME・DO!!」そしてラストの「Endless Anniversary」と、数えればキリがない。強いて言うなら、「キミが太陽」がフルじゃなかったのが本当に…。
・東山奈央 10th アニバーサリーライブ Special Thanks! フェスティバル(12月5日 6日)
東山に始まり東山に終わった今年のライブ・イベント。最後は10thアニバーサリーライブ。今年は東山の10周年でいろいろなイベントが企画されていたようだが、コロナにより大半がオジャンに。その中でもキャラソンライブは開催できて本当に良かったと思う。
初日は仕事のため途中から参戦。それだけに「ニセモノ注意報」の演出を初日にはあまり味わうことができずに残念だった。座席は良かったのに。初日は「エブリデイワールド」から「春擬き」の流れが聴けて本当に良かった。また、アンコールでまさかの「お願いマッスル」これには笑うしかなかった。
二日目は「fragile」がロングバージョンで聴けてまず満足。ただそれだけだと初日の俺ガイルメドレーには勝てず、もしかしたら初日勝ち組かと考えていたところにスペシャルゲストの佐倉綾音。マジかと思って二度見をしてしまった。あやねるの登場はこれだけにとどまらず、アンコールにも出番が。そして二人で歌うと言って流れてきたイントロが「Snow halation」。初っ端何でと思ったがすぐに妹コンビであったことを思い出し、良い意味でバカじゃないかこの選曲はと思う。盛り上がらないわけがない。間違いなく二日目のハイライトであった。
そんなこんなで、本当に参戦回数の少ないライブであったが、その反面一つ一つのライブはどれも良く、神ライブばかりであった。残念なのが、これらのライブの内円盤化されたのがスフィアの一本だけであることである。これらのライブは全て何回でも見返したいライブであっただけに、本当に残念である。
来年は、ライブ三昧の一年になることを願うばかりである。
【レビュー】Roger Goulart Cava Coral Rose Brut(スペイン)
この前紹介したものとはまた一味違う。
本日取り上げるのはロジャーグラートの第二弾のスパークリングワインである。名に「サンゴ」の名を冠した綺麗なピンク色のロゼワインである。
ロジャーグラートのロゼを前回飲んだのが少し前の話になってしまうため、ややうろ覚えの比較になってしまうのだが、今回のコーラルは味がしっかりしていた記憶がある。その分飲みごたえがあり、一人で一本空けるのにちょうど良い感じであった(もしかしなくてもおそらく飲み過ぎであると思う)。
年末年始お酒を堪能する機会が多くなるが、このお酒は男女問わず誰もが満足することのできる美味しいカヴァである。
【レビュー】判決はCMのあとで(青柳碧人)
現代版「十二人の怒れる男」なのか・・・?
今回取り上げるのは青柳碧人氏の小説『判決はCMのあとで』である。裁判がTVショーとなった世界というぶっ飛んだ設定ではあるのだが、そのわりにはしっかりとした法廷ミステリとなっているのが本作の魅力の一つである。
物語としては裁判員制度によって裁判員に選ばれた主人公の生野悠太が他の裁判員と共に一つの殺人事件の裁判を担当するところから始まる。上に述べたように、この世界では裁判がTVショーとなっており、裁判員に選ばれるとそこから芸能界入りする人もいるという特異な世界である。裁判員出身のアイドル八人組からなるユニット、「CSB法廷8」はその中で絶対的な人気を誇るアイドルとなっており、裁判では格闘技のラウンドガールのような役割を果たしている。
さて、そんな特異な世界観で繰り広げられる裁判であるが、裁判そのものは比較的真っ当な法廷ミステリとしてしっかりと読める。物語の流れとしては解説で東川篤哉氏が指摘しているが、どこか名作映画の「十二人の怒れる男」を意識しているような展開になっている。「十二人の怒れる男」が大好きな私も、この物語はわくわくしながら読むことができた。
突飛な世界観と本格的な法廷ミステリが合わさった本作、「十二人の怒れる男」を知っていても知らなくてもぜひ読んでほしいと思う。
【レビュー】「世界征服」は可能か?(岡田斗司夫)
真剣に世界征服をしてみようだなんて考えてもみなかった。
今回取り上げるのは岡田斗司夫氏の『「世界征服」は可能か?」である。突飛なテーマであり、思わずタイトル買いしてしまった本である。
内容としては、世界征服を企む者を四タイプに大別してみたり、実際に世界征服をするまでのプロセスを考えてみたりと、思ったよりも真面目に世界征服について考えている。ただ単に世界征服を夢想するのではなく、現実的なコストや労働力のことまで考えながら世界征服を目論むのは妙にリアルである。
本書には特撮やアニメの世界で登場した世界征服を企む悪が何人も登場する。その度に思うのは、フィクションの世界の世界征服を企む者達の頭の悪さである。まあ何とも世界征服に向いていない人たちか。まあ大半の作品が子ども向けに作られている作品なので、悪は分かりやすい悪にデフォルメされているのだとは思うが…
さて、本書によると、現代世界で世界征服を達成しようとするとおそらく皆さんの想像していなかった展開に行きつくようである。どのような結末を迎えるのか、ぜひ本書を読んで確認してみてほしい。
【レビュー】S&Mシリーズ 1~5(森博嗣)
今更この作品の良さに気付くとは。
今回取り上げるのは森博嗣の言わずと知れた名作シリーズ「S&Mシリーズ」である。今回はその中の1~5巻を取り上げる。
それぞれのタイトルは以下の通り。
1.『すべてがFになる』
2.『冷たい密室と博士たち』
3.『笑わない数学者』
4.『詩的私的ジャック』
5.『封印再度』
その中でもS&Mの代表作とされているのはやはり第1作、『すべてがFになる』であろう。主人公の犀川創平とお嬢様女子大生の西之園萌絵のタッグが孤島のハイテク研究所で発生した密室殺人を解決するために奔走する森博嗣のデビュー作でもある。
しかし、個人的にはS&Mシリーズの神髄は第2作目以降だと考えている。『すべてがFになる』では萌絵の可愛らしさがまだ出てきていない。萌絵が犀川に対し好意むき出しかつお嬢様全力で迫るのが第2作目以降、シリーズが進むにつれてだんだんと強引かつ魅力的になっていくのである。
個人的に一番好きなのは3作目、『笑わない数学者』であろうか。このシリーズもご多分に漏れず密室殺人が発生するのであるが、5作の中では最も解きやすいミステリになっているのである(とはいうものの、3作目が最も現実離れしたトリックなのであるが)。
S&Mシリーズの後半5作の内、既に3作は手中にある。早く読み進めて犀川と萌絵の行く末を見届けたい。
【企画】今月のタダ本(2020年12月・コミックの部)
今月も充実の9冊。
さて、今月もコミックを9冊購入。ネットオフのサブスクサービス「タダ本」の説明は以下の通り。
今月のラインナップは以下の通り。
2.『ユキは地獄に堕ちるのか』4,6(藤原ヒロ)
水城せとな氏の『放課後保健室』2~5である。1巻は10年近く前に購入した記憶があるが、それ以来ご無沙汰となっていたので思い切って購入。お恥ずかしい話、内容は全く覚えていないのでまた1巻から見直そうと思う。評価が高い作品なだけに早くそろえて読んでいきたい。
2.『ユキは地獄に堕ちるのか』4,6(藤原ヒロ)
『会長はメイド様!』で知られる藤原ヒロ氏の『ユキは地獄に堕ちるのか』の4、6巻である。本来は5巻も持っていないのだが、残念ながら売り切れ。来月以降で5巻を手に入れ次第一気読みする予定である。
寺嶋裕二氏の『ダイヤのA』である。恐らくまだ半分くらい購入していないはず。早く購入してどんどん読んでいきたいところではあるのだが、人気があるだけになかなかタダ本の対象にならないのが少し残念である。
今年アニメ化された沙村広明氏の『波よ聞いてくれ』が早くもタダ本の対象になった。個人的にはおそらく今年一番楽しんだアニメである。ラジオパーソナリティーの話なのでアニメほどの臨場感が感じられるかが少し不透明ではあるが、それでも楽しみにしている作品である。
以上が今月のコミック9冊である。さ、今月は年末にしっかり休めるのでそこで一気に読み進めることにしよう。