趣味のみぞ語るセカイ

趣味であるお酒や読書、アニメ等に関して思ったことを綴っていくブログです。

【レビュー】諜報指揮官ヘミングウェイ(ダン・シモンズ)

 知る人ぞ知るヘミングウェイの作家以外の顔。

 

f:id:ChitaShindoh:20210201205552j:plain

f:id:ChitaShindoh:20210201205731j:plain

 

 今回取り上げるのはダン・シモンズのサスペンス小説『諜報指揮官ヘミングウェイ』である。

 

 舞台は第二次世界大戦中のキューバ。SIS特別捜査官のルーカスはアメリカの大作家、ヘミングウェイの監視を命じられ、彼の運営する防諜組織、「クルックファクトリー」への潜入を命じられる。潜入生活が続いたある日、ドイツの工作員と思われる男が殺害されたところから状況は一変する…

 

 上巻に関してはかなり状況説明の文章が多く、また、状況も変化しないため、かなり冗長な展開が続く。しかし、上で紹介した殺人事件から徐々に展開がスピードアップしていくため、上巻の前半部分をしのげたならばそれ以降はとてつもなくハラハラする楽しい展開が待っている。特に下巻の最後200ページくらいは非常に楽しめ、読書スピードも格段に上がっていった。また、ヘミングウェイの言葉がところどころで印象に残るため、前半部分を我慢するだけの価値がある作品であると思われる。そしてまた、ヘミングウェイの小説を読みたくなる気にもさせてくれる作品である。

 

 みなさんも、知る人ぞ知るヘミングウェイの裏の一面をぜひ知ってほしい。