【レビュー】羊と鋼の森(宮下奈都)
詩的な描写の数々。
今回取り合上げるのは宮下奈都の小説『羊と鋼の森』。第13回本屋大賞を受賞した有名作である。
内容としては、高校生の時に偶然ピアノの調律に魅せられた外村が調律師として成長していく過程を描いた作品である。ピアノの調律の様子はもちろんのこと、この作品では彼の勤める職場の魅力的な面々や顧客である双子の姉妹との交流が深く描かれている。
そしてこの作品の何よりの見どころは、その詩的な描写の数々である。タイトルの『羊と鋼の森』はピアノのことを指しているのだが、作中ではピアノの音を奥深い森の描写で表すことが多い。それらの描写の数々は私の読書スピードを加速させ、想像力を豊かなものにさせてくれる。おかげでいつもよりも読了スピードが速かった。宮下奈都氏の作品は往々にしてそういうものが多い。
みなさんもこの作品を読んでピアノ調律の世界や奥深い森へ足を運んでみてはいかがだろうか。
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