趣味のみぞ語るセカイ

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【レビュー】ゲーマーズ!(葵せきな)

 ゲーム好きたちによるすれ違いラブコメ、ここに完結。

 

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 今回取り上げるのは葵せきな氏の『ゲーマーズ!』。著者の作品はデビュー作の『マテリアルゴースト』からずっと追いかけているが、漫才のようなテンポの良い会話シーンが持ち味の作家である。加えて今作は、登場人物同士のすれ違いが多く、世間では「アンジャッシュ」と称されている傑作である。

 

 主人公は平凡を絵にかいたようなゲーム好き以外の特徴がまるでない少年、天野景太。ヒロインの才色兼備の美少女、天道花憐はそんな景太をゲーム部にスカウトしようとするが、断られてしまう。そこから物語は紆余曲折しつつ、登場人物同士の距離や好感度が著しく変化していく。実際には前巻で男女関係のあれこれはある程度完結しているのだが、今巻はその後を描いたアフターストーリーとして十分に楽しめる物語である。景太・花憐はもちろんのこと、その他の登場人物がどのような道を歩んでいくのか、それを楽しんでほしい。

 

 また、今巻でも持ち味の会話のテンポの良さは健在である。個人的には景太と亜玖璃のやりとり・景太と心春のやりとりなどが好みである。特に景太と心春の「伝説のエロゲー」を探すという話は、なかなかに面白い。

 

 ゲームを愛する人々による、それほどゲームが関係ない恋のあれこれをぜひご堪能あれ。そして、『ゲーマーズ!』を読んで葵せきな氏の文体や構成が気に入ったのならば、ぜひ他の作品も読んでほしい。特にデビュー作の『マテリアルゴースト』は、なかなかに面白い傑作であると私個人は思っている。