趣味のみぞ語るセカイ

趣味であるお酒や読書、アニメ等に関して思ったことを綴っていくブログです。

【企画】家にあるアニメ作品を全部見直してみる9 レビュー「とある飛空士への追憶」

 空版「ローマの休日」。

 

f:id:ChitaShindoh:20190904225808j:plain

 

とある飛空士への追憶』は「飛空士」シリーズの第一作で原作から追っかけており、大好きな作品である。

 

 主人公の狩野シャルルはベスタドと呼ばれる混血児であり、身分的には高くない。彼は身分が関係なくなる空の世界に憧れを抱き、トップクラスの操縦技術を持つ飛空士である。そんな彼に舞い込んだ指令が、「次期皇妃のファナを皇子の所まで飛空機で運ぶ」というものであった・・・

 

 正直な話、序盤から中盤にかけては敵から逃げながら空を飛んでいるだけなので大した見所はない。小説だとそれでも十分に間が持つのだが、映像だと少し物足りなくなってしまうのが痒いところか。

 

 一方で、映像の良さが出てくるのは後半に入ってからである。敵に囲まれてから様々な技術を用いて逃げるシーンはやはり迫力がある。一番の見どころは最後、敵国のエースである千々石との一対一の勝負である。この勝負の最終盤に旅を経て築き上げてきたシャルルとファナの信頼が前面に出てくるのがとても良い。

 

 そしてもう一つの見どころがラストシーンである。飛空士でありながら敵を殺すことを快く思っていないシャルルが自由に空を飛ぶことができた唯一の場面があのシーンであり、小説でも十分に感動的であったが映像だとさらに映えていた。

 

 放映時間の都合上、カットされた部分が多く小説よりは完成度として落ちるものの、それでも映画だからこそ映えるシーンも存分にある。もしかしたら原作を知らないで見た方が面白いのかもしれない。

 気になった方は一度ご覧あれ。