趣味のみぞ語るセカイ

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【レビュー】背すじをピン!と(横田卓馬)

 競技ダンスを題材にした少年漫画。

 

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 今回取り上げるのは横田卓馬氏の漫画、『背すじをピン!と』である。前回の「今月のタダ本」のコーナーでも紹介したが、1巻からコミックスを追っかけていたのにも関わらず、肝心の最終巻だけなぜか買い忘れてしまった作品である。この度ようやく最終巻が手に入ったので、一気読みして感想を述べる。

 

 ストーリーはというと、鹿鳴館高校に入学した1年生の土屋雅春は部活動紹介での競技ダンス部のステージに惹かれ、高校生から競技ダンスを始めるというものである。

 

 序盤の巻数は主人公の土屋とそのパートナーである亘理英里の競技ダンス初心者カップルが少しずつダンスを覚えて大会に臨むさまが描かれている。

 

 初心者の二人がさまざまな障害を乗り越えて徐々に成長していくのだが、大会の壁がとてつもなく厚く、また主人公カップルが一切覚醒しないのは少年漫画には珍しく妙にリアリティがある。

 

 一方で終盤は土屋亘理の主人公カップル以外の鹿鳴館高校の面々に強くフォーカスが当てられている。特に土井垣、綾辻の部長・副部長カップルの奮闘は素晴らしいものがあり、8巻から9巻の頭までは非常に胸に来るものがある。

 

 個人的にはこの作品はとても好きな作品であったので、10巻で終わってしまうのは非常に惜しい気がする。ただその一方で主人公カップルがあまりにも地味すぎるので終わってしまうのも仕方なくはある気がする(個人的には通常では目立たないような個性が薄い人々が成長する姿を追っかけるのが非常に好きなのだが、世間的にはおそらくそうではないのだろう)。

 

 主人公カップルの緩やかな成長をしっかりと描いた本作品。『ボールルームへようこそ』などの競技ダンスを題材にした作品が好きならば、ぜひこの作品も読んでみては。