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【企画】家にあるアニメ作品を全部見直してみる26 レビュー「"文学少女" メモワール」

 劇場版とどちらを先に見ればよいのだろう。

 

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 今回取り上げるのは「"文学少女" メモワール」の3シリーズである。井上心葉の周囲を彩る3人の女性にスポットライトをあて、井上心葉と彼女らの出会いや接近について描いた短編作品である。

 

 1話は天野遠子を主人公とした「夢見る少女の前奏曲」。物語を愛しすぎるがあまりに本を食べてしまうという文字通りの"文学少女"が、父の勤めていた出版社で『青空に似ている』という小説に出会う場面をメインに据えた物語である。まだ幼い遠子が徐々に成長し、今の遠子になるまでの過程が描かれている。いかにしてあの"文学少女"になったかということがよく分かるストーリーになっている。

 

 2話は朝倉美羽を主人公とした「ソラ舞う天使の鎮魂曲」。朝倉美羽の家庭環境をはじめとして心葉との出会いと交流、あの事件が起きるまでの過程が描かれている。家庭環境を顧みれば美羽があのような性格になってしまうのはある種仕方のないことだと思うが、それにしてもつくづくイヤなオンナである。それを見事に演じ切ってみせた平野綾の演技は驚嘆に値する。凄まじい迫力である。

 

 3話は琴吹ななせを主人公とした「恋する乙女の狂想曲」。良くも悪くも井上心葉のことが気になって仕方がない琴吹ななせが、自分の気持ちに素直になるまでの物語である(行動にそれが反映されているかは別として)。よく見られる「好きな子に意地悪しちゃうタイプ」の女の子の典型であるななせは本当に可愛らしい。とはいえ、自分が心葉の立場に置かれていたら「なんだこいつ」ときっと思ってしまうだろうが。

 

 3作品とも公開時期としては「劇場版 "文学少女"」より後の作品であるが、個人的には劇場版よりも先に見ることで劇場版で描き切れなかった場面の補填がなされ、劇場版がより楽しみになると思われる。是非劇場版の前にこれを見てほしい。