趣味のみぞ語るセカイ

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【博物館】特別展「ミイラー永遠の命を求めて」

 人が永遠の命を求めた結晶。

 

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 科博の特別展では珍しく一切の写真撮影が禁止されている特別展(理由は後述する)のため、写真少な目でご紹介(というより、上の一枚だけである)。

 

 世界各地の自然ミイラ・人工ミイラが一堂に会す特別展とあっては、ミイラに神秘を感じてしまう私が行かないわけもいかず、そそくさと足を運んだ。

 

 展示されているのはもちろん「かつて生きていた人間」である。それぞれのミイラを眺めているとなんとも言えない気分になる。人工ミイラはその多くが自ら望んでミイラになったのだからまだ良い。だが、自然ミイラはその大半が自らがミイラになることを予期していなかったはずである。そして、ここに展示されている全てのミイラが、まさか博物館で展示されることになるとは思わないだろう。特に、再び命が現世に戻ってくる時の依代として作られたエジプトのミイラは、こんな自分の未来を絶対に予期していなかったことだろう。

 

 それにしても感心するのは、科博のミイラ展示に対する意識の高さである。これは上で述べた今回の展示の写真撮影が禁止されていることにもつながっている。

 今回の展示に限らず、科博はミイラを展示の対象としているのと同時にそれぞれ「人」としてきちんと接している姿勢が見られる。ミイラのプライバシーを保護するために写真撮影が禁止されているのもそのような姿勢の表れだろう。その姿勢には感服するばかりである。

 

 私がミイラに魅せられるようになったのは一体のミイラに出会ったからである。今回のミイラ展では展示されていないが、科博の日本館には江戸時代の女性のミイラが常設展示されている。私が初めてそのミイラを見たとき、30分ほどその展示から離れることができなかった。そして今でも時々そのミイラに会いに行くのである。常設展の展示物は科博のウェブサイトにある「常設展示データベース」でその画像を見ることができるのだが、このミイラはイメージ画像が付随されておらず、また、このミイラの展示も写真撮影が禁止されている。理由としては上でも述べたプライバシー保護である。その女性は保存状態も良く、生前の顔立ちもはっきりと分かる。加えてたどろうと思えば子孫を特定することもできるそうである。そのような事実が分かると、ますますそのミイラに近しさを感じるようになり、どこかミイラに神秘を感じられるようになったのである。

 

 今回のミイラ展のミイラに会いに行ったときは、ぜひ日本館のミイラにも会いに行ってほしい。そしてそれぞれのミイラと目を合わせれば、何か感じるものがあるはずである。