【博物館】特別展「ゴッホ展」
「炎の画家」ゴッホの作品展。
多作で知られるゴッホの作品展が上野の森美術館で開催されていたので、行ってきた。
ハーグ派に影響を受けた前期から印象派に影響を受けた後期にかけての作品が展示されており、時期によって作風の異なるゴッホの作品を観覧することができる。
ハーグ派に影響を受けた前期は農民や貧しい人々を描いた作品が多く作り出されている。だが、正直に言うと前期の作品は個人的にはそれほど好みではない。絵画の印象が全体的に「暗すぎる」のだ。絵画の対象が当時の農民や貧しい人々であれば明るく描きようもないので仕方ないが、それにしても暗い。その時期の作品で唯一気に入ったのは「秋の夕暮れ」だろうか。秋のどんよりした空をはじめとして全体的に暗い構図の中に、夕日のオレンジ、黄色が非常に映えている。そこに惹かれてしばらくこの絵を眺めてしまった。
印象派に影響を受けた後期は一転、画面全体が明るい作品が増えていく。そして印象派の特徴なのか、厚塗りになっていくとともに輪郭をはっきりと描かず、細かなタッチの絵が非常に多くなる。近くで見るとそのタッチが何を表しているのか全く分からないのだが、遠くから何となく見てみるとしっかりとした絵の一部分になっていてなんとも不思議な気分になる。
後期の作品で印象に残っているのは「モンマルトルの家庭菜園」や「糸杉」、「薔薇」だろうか。いずれの作品もまず遠目から何となくで見て、次に近くで塗りの厚さに感心し、そして最後にまた遠くから眺めて近くで見た一部が作品にどのようなアクセントを与えているのかを味わう。そんな見方をして堪能させてもらった。
「ひまわり」や「タンギー爺さん」を見ることは残念ながらできないが、それでもゴッホの作品を堪能できる。またとない機会である。是非一度足を運んでゴッホの作風の変化を存分に堪能してほしい。